トーキョーぶらり節〜築地編

会社の飲み会を終えて、夜行バスで東京へ。
地震で道路が傷んだのか、バスが悪いのか、高速道路ではずーっとガタガタいってて眠れず、
結局一睡もできないまま朝5時10分、八重洲口に着いてしまった。

八重洲口から一路徒歩で築地へ向かう。
早朝の銀座。
ショーウィンドーを独り占めしてのお散歩…なんて贅沢な。

ゆっくり歩いて30分ほどで築地に到着。
まだ朝6時前だというのに、人がいっぱい。
外市場をスルーし、おそるおそる、築地市場の構内に足を踏み込む。
忙しそうに走り回る一人乗りの運搬車(ターレットトラックっていうんだそう)が「邪魔だ〜!!」と言わんとばかりに私の肩すれすれを走っていく…こわい。
なんとなく、初めての海外旅行を思い出すようなアウェー感で満ちている中、ようやく食堂やお店が並ぶ場所に着き、お目当てのお店を探すことに。
築地で一番人気の、土日は2〜3時間並ぶという「寿司大」発見。しかし、さすが平日。誰も並んでない!
どうするか悩んだけど…私はもう一軒の目当ての店「うなぎの米花」へ向かうことに。
ここは店の入口からすでにカオス!店内にはなにやらインターナショナルな写真や言葉がベタベタと貼ってある…。謎の引力に導かれるように、ふらふらと店内に入ってしまった私。
「は〜い、いらっしゃ〜い」と店主のジローさんがオネエ言葉で迎えてくれた。
「今日はねぇ、おまかせの煮魚おいしいよ〜。あとは〜海鮮丼とか、焼き鳥丼〜」
次々とおすすめを教えてくれる優しいジローさん。迷わず私は海鮮丼をオーダー。
「OK〜!」
返事と同時に、鍋でぐつぐつ煮だしてあるお茶を大きなマグカップに、おたまですくって入れてくれる。
「出てくるまでこれ読んでて〜。」とジローさん自筆の韓国語講座(?)を3枚いただいた。
ジローさんは、時々、英語やハングルが混じったような言葉でいろいろ話しかけてくれる。
震災後の築地のこと、台湾や韓国の人々が日本を応援してくれていること、おすすめの散策スポットなどなど、いろいろ教えてくれた。
福島でここ2ヵ月、鬱々と過ごしてきたけど、ジローさんと話していたら、なんだか視野がぱーっと広がった気がしたなぁ。いろんな意味でカオスだけど、どこよりもインターナショナル!
そうこうしているうちに運ばれてきた海鮮丼を目の前にして、びっくり。
丼にアワビ(トコブシかな?)が殻ごとまるごと一個、大きな蒸しエビ、タコ、分厚いマグロ!

それを別の皿に「避難」(ジローさん談)させると、次に見えるのは…
ご飯を埋め尽くすたくさんのアオヤギ!!そして、私の大好物の赤貝!!
貝好きの私も思わず眩暈がしそうなスペシャルな海鮮丼…これがなんと1,500円なんだから、さすが築地。
丼を目の前にしてものすごい幸福感…きっと恍惚の表情で一口一口頬張っていたことだろうなぁ私。
どれもこれも美味しかったんだけど、驚いたのが、アワビの食感!
切れ目がついていないから、どうやって食べるのか不安だったんだけど…めちゃめちゃ柔らか〜い!!
「うわぁっやわらかっ」と驚いていると、「でしょ〜。お酒で蒸してるの♪」とジローさん。
もうなんか、ジローさんがすごく可愛く見えてきたから不思議。
「このあと、何しようかなぁ…」ぽつり呟いた私を見てすかさずジローさん、
「さっき渡した紙、ちょっと貸してちょーだい。地図書いたげるから」
と、サラサラサラーっと地図を書いてくれた。
築地に波除稲荷神社があること、市場を見学すれば見たことのない大きな魚も見られること、近くの浜離宮から水上バスが出ていて浅草に行けること、銀座は1丁目、2丁目…と碁盤の目に並んでいること、今日は日比谷公園オクトーバーフェストが行われていること…などなど。
地図を書いてくれた紙の下にはジローさんの人生訓とも言える、厳しくも温かい言葉がさらさらと綴られていた。
それについてはジローさん、特になにも言わなかったけど、それが私にはとても嬉しかった。
口で伝えると押し付けがましいことも、文字にして伝えると心にすぅーっと入ってくることがある。それをジローさんは知っているんだな、きっと。
そんなステキなジローさん。

「それでは、また」
お勘定をして私はさらりと店を出た。

そのあと、波除稲荷神社で災難除けの祈願をして、活気溢れる築地市場を見学して(あんな大きなマグロ、初めて見た!福島で解体ショーやるようなマグロは小さいものなのね…)、場外のお店をぶらぶらして、築地本願寺を散策して、私の初めての築地は終了ー。

そんなわけで、朝のほんの2時間ちょっとだけど、濃ゆーいひととき。
築地は、そんな濃ゆーい活気や人間のパワーがギュッと凝縮している街だったなー。

毎度、くるりばかりで申し訳ないけど、上京する時はくるりの曲がしっくりくる気がするんだー。
で、夜行バスといえばこの歌。

そして高速バスではこの歌。